説明
彼女の幼少期から育った環境の影響なのかあまり自分の事を表面上に出さない孤独で美人な彼女。一見、彼女の言動は素っ気なく見えたりするのだが、愛を感じるような言葉をかけると素直に照れながら喜んだりする。今日は彼女の誕生日だった。いつも孤独な女の子という事を知っていた僕は彼女の誕生日にデートに誘った。僕の誘いがよっぽど嬉しかったのか当日遅刻はしてきたものの、いつもの「フン」とした態度とは違う何かに期待した・・・というかはしゃいだ感じで僕の元に現れた。こんな一面もあるんだと思いながら彼女と歩き出した。序盤はウキウキ気分の彼女だったが、その心が僕にバレたくないのか急に素っ気ない態度をしたりする。でも僕には彼女のことが理解できていたのでその言動が気の毒に思えて仕方なかった。誕生日だからなんか買ってあげるよと言うと一瞬すごく嬉しそうにするが「えっ別にいらない」とすぐ素っ気ない態度をする。まぁそう言ってくるだろうと僕は知っていた。心を許すと騙されるというなにか辛い過去でもあるのだろう。そんな彼女だから僕は何かを買いあたえるのではなく、さりげなく彼女にプレゼントすると言うちょっとしたサプライズを用意していた。全くもって大したサプライズではないのだがきっと彼女はその方が喜んでくれるはずだと思っていた。彼女と街並みを歩いていた。偶然を装いそこのベンチに腰掛けようと彼女に伝え座らせようとすると彼女はあるものを見つけた。僕が用意していた一輪の薔薇をそこに置いておいた。世の中的にはかなりベタな展開だが、その世の中の常識で育ってきていない彼女には1番喜ぶんじゃないかと僕は感じていた。薔薇の花言葉には本数で意味合いが変わってくる。一本だと ”あなたしかいない”彼女だったらその真意と花に棘が一つも無いことも気づいてくれると僕は思った。そして彼女には「物」よりも彼女の事を想った僕の行動が、その「気持ち」が1番嬉しいはず。その花を手に取った彼女は明らかに嬉しそうだった。素直に喜んでいいのかその気持ちを隠した方がいいのか迷ったあげく彼女は僕に小さな声で「ありがとう」と一言僕に伝えた。僕は素直に嬉しかった。何よりも彼女の笑顔が嬉しかった。ベンチに座りキスをしようと彼女に言うとその瞬間、いつもの素っ気ない彼女に戻っていた。が、どこか僕に心を開いてくれた様なそんな感じがした。そして僕らはホテルへと足を運び彼女の誕生日に初めて一つに繋がった。擬似の愛ではあるけど彼女は嬉しかったんじゃないかな・・・。